学年主任 『 卒業式にのぞんで思ったこと』
実に感動的な卒業式だった。生徒代表のメッセージも保護者の方の挨拶も通り一遍のコトバではなく実体験をともなう温かい血が流れていた。それを聞いていた卒業生はもちろん、後ろで控えていた在校生たち、そして4月以降も学校に留まり卒業をめざす3年生たちの態度も立派だった。厳粛な雰囲気の中にも心に沁み入るようなぬくもりがあった。
思えば3年間学年主任として持ち上がった私としては思い出深い学年だった。この子たちが学校で一堂に会することはもうないのだと思うと、胸が締め付けられるほどに切なくなる。
卒業生の中には8年かけてこの日を迎えた教え子もいる。彼が新入生のとき担任だった私にはひとしお感慨深いものがある。卒業式には参加しなかったが、放課後、職員室に来ていた彼に私は手紙を手渡した。送り出す卒業生の代表としての思いをこめてこう書いた。- これからは一人の大人として付き合おうと思う。同時に先に生まれた大人のひとりとして背筋を少し伸ばそうと思う。「 日々是好日 」(にちにちこれこうにち)- 毎日が好い日である。 人生、何事かを始めるのに厄日もないし、遅すぎることもない。きみはきみのペースでこれからも歩んでいけたらいい。つらくなったら立ち止まり、そしてやり直せばいい。君たちには時間がある。